それは、自分が六年生のときであったが、徒歩競争に出るのをお母さんは、やはり、あの桜の木の下に立って見ていられた。
桜の幹から、校舎の窓に張り渡してある綱には、無数の日の丸の旗や、満洲国の旗や、中華民国の旗などが、つるしてあった。
夏の末ごろから落ちはじめる桜の木の葉は、もはや幾らもついていなかったようだ。
それは、自分が六年生のときであったが、徒歩競争に出るのをお母さんは、やはり、あの桜の木の下に立って見ていられた。
桜の幹から、校舎の窓に張り渡してある綱には、無数の日の丸の旗や、満洲国の旗や、中華民国の旗などが、つるしてあった。
夏の末ごろから落ちはじめる桜の木の葉は、もはや幾らもついていなかったようだ。