これまでも、新しい器械が発明されたとか、新しい思想が流行するとか、また、戦争などということがあって、栄えた職業が、急に衰微したり、また反対に衰微していたものが、復興する例は少なくなかったのです。
こんどの世界戦争は、我が国のすべての産業に革命をもたらしました、縫い箔屋という商売が、たとえ一時的にせよ、まったく衰える状態となり、この店もついに閉店して、転業を余儀なくされたのでした。
ここにいた、若い、健康な男女は、それぞれ工場へいき、活溌に働いたのですが、正吉は、それらの人たちと同じことはできず、ある電気工場へ勤めて、体力にふさわしい仕事として、ニクロム線を巻いたり、鉄板のさびを落としたりしていたのであります。