彼の経歴は処世の階子段を一二段で踏み外したと同じ事である。
まだ高い所へ上っていなかっただけが、幸と云えば云う様なものの、世間の眼に映ずる程、身体に打撲を受けていないのみで、その実精神状態には既に狂いが出来ている。
始めて逢った時、代助はすぐそう思った。
彼の経歴は処世の階子段を一二段で踏み外したと同じ事である。
まだ高い所へ上っていなかっただけが、幸と云えば云う様なものの、世間の眼に映ずる程、身体に打撲を受けていないのみで、その実精神状態には既に狂いが出来ている。
始めて逢った時、代助はすぐそう思った。