始めのうちは、ただ、ぶらぶらしていたが、どうしても、はかばかしく癒らないので、仕舞に医者に見て貰ったら、能くは分らないが、ことに依ると何とかいうむずかしい名の心臓病かも知れないと云った。
もしそうだとすれば、心臓から動脈へ出る血が、少しずつ、後戻りをする難症だから、根治は覚束ないと宣告されたので、平岡も驚ろいて、出来るだけ養生に手を尽した所為か、一年ばかりするうちに、好い案排に、元気がめっきりよくなった。
色光沢も殆んど元の様に冴々して見える日が多いので、当人も喜こんでいると、帰る一カ月ばかり前から、又血色が悪くなり出した。