段々聞いてみると、明日引越をする費用や、新しく世帯を持つ為めの金が入用なのではなかった。
支店の方を引き上げる時、向うへ置き去りにして来た借金が三口とかあるうちで、その一口を是非片付けなくてはならないのだそうである。
東京へ着いたら一週間うちに、どうでもすると云う堅い約束をして来た上に、少し訳があって、他の様に放って置けない性質のものだから、平岡も着いた明日から心配して、所々奔走しているけれども、まだ出来そうな様子が見えないので、已を得ず三千代に云い付けて代助の所に頼みに寄したと云う事が分った。