その広いすそ野のふちを、青黒い色の海が、うねりをあげ、そして、もやのかかる松林や、白い砂の浜辺は、浮き織りの模様のように見えるので、さすがに天女も、しばらくはわれを忘れて、見とれずにはいられませんでした。
天女は、それが、こうしてわざわいを招くとも知らず、袂をひるがえすと、さっさとくじゃくの舞うように、人間のいぬのを幸いに、松原へ降りたのであります。
すると、しめった土のさわやかさ、水晶をくだく海の水、天女は、心いくばかりそれに親しまんものと、足にまつわる羽衣をぬいで松の枝へかけ、はだしのまま、なぎさの方へ走ったのでした。