頭から顔までぬらしながら、親方は、ただもじもじしていると、そのねえさんは、わたしの手をとらんばかりにすすめたので、二人は、つい、すいこまれるごとく、ドアの中にはいりました。
そして、わたしは生まれてはじめて、こんなに美しく、かざりたてられた、たてものの中を見たのです。
ふだんは、風のふきすさぶたてものの外に立って、五色にかがやくネオンをながめながら、中からもれる、たのしそうな音楽や心のうきたつような歌にききほれるだけで、煉瓦のかべをへだてて、そこには、どんな世界があるのか、想像することもできなかったのでした。