なぜなら、このおおかみは、もう長い間、山に生きて、いろいろの経験をして、このあたりの山中なら、どんな道も知っていれば、どこへいけば、なにがあるということから、またいろいろのばあいにたいして、だれよりも知識がふかかったからです。
たとえば、病気のときには、どの草を食べればいいとか、敵に追われたときは、どの谷へおりて、どの岩の間にかくれるとか、そのことは、とうてい、若いおおかみたちの知るところではありませんでした。
それだけでなく、かれは、敵と出あって、たたかわなければならないときも、自分は相手のいちばん強いやつをひきうけるというふうでしたから、みんなから、尊敬されていました。