稀に、明日帰るというような人が、木地細工の店に入っているのを見るばかりであるが、果物店には、いかなる日でも人の入っていないことはなかった。
別に、眼を娯しますものもないから、欄に倚りかゝって、前の二階の客が煙草を喫ったり、話しをしていたり、やはり、つくねんとして此方を見ているのを見る他、眼をどうしても、此の二軒の店に落さずにはいられなかった。
そのたびに、果物店には、赤い帯が見えて、娘が葡萄や、林檎を買っていたり、また絵はがきを選んでいるのを見て、よくはやる家だと思わぬことはなかった。
稀に、明日帰るというような人が、木地細工の店に入っているのを見るばかりであるが、果物店には、いかなる日でも人の入っていないことはなかった。
別に、眼を娯しますものもないから、欄に倚りかゝって、前の二階の客が煙草を喫ったり、話しをしていたり、やはり、つくねんとして此方を見ているのを見る他、眼をどうしても、此の二軒の店に落さずにはいられなかった。
そのたびに、果物店には、赤い帯が見えて、娘が葡萄や、林檎を買っていたり、また絵はがきを選んでいるのを見て、よくはやる家だと思わぬことはなかった。