私の手携げ袋の中には、奈良の薬師寺で拾った瓦や、東大寺で買った鐘や、いろ/\のものが入っているので、手が痛くなって、其処の松並木の下の草原で暫らく休んだ。
遙かに、紀伊の山々が望まれた。
海の上を行って、五十里はあれど百里はあるまいと思うと、学校時代に最も親しかった、たゞ一人の友のいる国の山が見えるのに、此処まで来て其の友に遇わずに帰るのが悲しくて、また、何時か来られるか分らないのにと思うと、低徊して去るに忍びなかった。
私の手携げ袋の中には、奈良の薬師寺で拾った瓦や、東大寺で買った鐘や、いろ/\のものが入っているので、手が痛くなって、其処の松並木の下の草原で暫らく休んだ。
遙かに、紀伊の山々が望まれた。
海の上を行って、五十里はあれど百里はあるまいと思うと、学校時代に最も親しかった、たゞ一人の友のいる国の山が見えるのに、此処まで来て其の友に遇わずに帰るのが悲しくて、また、何時か来られるか分らないのにと思うと、低徊して去るに忍びなかった。