遙かに、紀伊の山々が望まれた。
海の上を行って、五十里はあれど百里はあるまいと思うと、学校時代に最も親しかった、たゞ一人の友のいる国の山が見えるのに、此処まで来て其の友に遇わずに帰るのが悲しくて、また、何時か来られるか分らないのにと思うと、低徊して去るに忍びなかった。
『敦盛そばや』に来て、この友に絵はがきにたよりを書いた。
遙かに、紀伊の山々が望まれた。
海の上を行って、五十里はあれど百里はあるまいと思うと、学校時代に最も親しかった、たゞ一人の友のいる国の山が見えるのに、此処まで来て其の友に遇わずに帰るのが悲しくて、また、何時か来られるか分らないのにと思うと、低徊して去るに忍びなかった。
『敦盛そばや』に来て、この友に絵はがきにたよりを書いた。