印刷術と製本術とが、機械でされるようになって以来、生産の簡易化は、全く書物に対する考え方を変えてしまいました。
同じく、文化を名目とはするものゝ、珍らしい、特志の出版家でもないかぎり、出版は、資本主義機構上の企業であり、商業であり、商品であり、また今日の如く、大衆を顧客とするには、著者の趣味如何にかゝわらず、粗製濫造も仕方のないことになるのです。
一方、人生の精神文化は、遅々として向上せず、大衆の趣味、理想は、依然として低くあるかぎり、たま/\良書が出版されても、その再版、三版は期し難いのであります。