現に、数年前のこと、ちょうど春先であったが、轟然として、なだれがしたときに、幹の半分はさかれて、雪といっしょに谷底へ落ちてしまったのでした。
幸いに根のかみついていた岩角が砕けなかったから、よかったものの、もし壊れたら、おそらくそれが最後だったでありましょう。
しかし、いまは、そのときの傷痕も古びてしまって、幹には、雅致が加わり、細かにしげった緑色の葉は、ますます金色を帯び、朝夕、霧にぬれて、疾風に身を揺すりながら、騎士のように朗らかに見られたのであります。
現に、数年前のこと、ちょうど春先であったが、轟然として、なだれがしたときに、幹の半分はさかれて、雪といっしょに谷底へ落ちてしまったのでした。
幸いに根のかみついていた岩角が砕けなかったから、よかったものの、もし壊れたら、おそらくそれが最後だったでありましょう。
しかし、いまは、そのときの傷痕も古びてしまって、幹には、雅致が加わり、細かにしげった緑色の葉は、ますます金色を帯び、朝夕、霧にぬれて、疾風に身を揺すりながら、騎士のように朗らかに見られたのであります。