女は、平常たいせつにしていた、くしとか、笄とか、荷物にならぬものだけを持ち、男は、羽織、はかまというように、ほかのものを持っては、長い道中はできなかったのです。
しかし、彼は、利助のさかずきを持ってゆくことを忘れませんでした。
田舎の人となりましてからも、彼は、利助のさかずきを取り出してながめることによって、さびしさをなぐさめられたのであります。
女は、平常たいせつにしていた、くしとか、笄とか、荷物にならぬものだけを持ち、男は、羽織、はかまというように、ほかのものを持っては、長い道中はできなかったのです。
しかし、彼は、利助のさかずきを持ってゆくことを忘れませんでした。
田舎の人となりましてからも、彼は、利助のさかずきを取り出してながめることによって、さびしさをなぐさめられたのであります。