太吉の父親は病身の妻とその子を残して、上州へ出稼に出たのである。
来年、この北国の山や野が若々しい緑で被われて、早咲の山桜の花が散って、遠野に白い烟が棚曳て、桃の花が咲く時分にならなければ帰って来ない。
太吉は炉辺に坐って、青竹を切って笛を造りながら、杉の葉や枯れた小枝を手折てはこれに火を焚付けて、湯を沸して町から母の帰るのを待っていた。
太吉の父親は病身の妻とその子を残して、上州へ出稼に出たのである。
来年、この北国の山や野が若々しい緑で被われて、早咲の山桜の花が散って、遠野に白い烟が棚曳て、桃の花が咲く時分にならなければ帰って来ない。
太吉は炉辺に坐って、青竹を切って笛を造りながら、杉の葉や枯れた小枝を手折てはこれに火を焚付けて、湯を沸して町から母の帰るのを待っていた。