昔は大名か何かの、奇麗な御殿があった所だと見えて、大きな礎石や、瓦の欠や、石垣などが残っています。
その荒れた城跡に草の茫々と生えた中で、夕暮方の空を眺めて一人の痩た乞食が胡弓を鳴らして、悲しい歌を歌っていました。
二郎は物怖ろしくなって、乞食の知らない間に通り抜けようと駆け出しましたが、乞食は別に此方を振向こうともせんで、やはり疲れた風で泣くような胡弓を鳴らしていたのであります。
昔は大名か何かの、奇麗な御殿があった所だと見えて、大きな礎石や、瓦の欠や、石垣などが残っています。
その荒れた城跡に草の茫々と生えた中で、夕暮方の空を眺めて一人の痩た乞食が胡弓を鳴らして、悲しい歌を歌っていました。
二郎は物怖ろしくなって、乞食の知らない間に通り抜けようと駆け出しましたが、乞食は別に此方を振向こうともせんで、やはり疲れた風で泣くような胡弓を鳴らしていたのであります。