と兄の身の上を案じながらも、早く母さんに遇おうと思う一念で森の燈火の見えるのをそれと思って駆けて参りました。
だんだん暗い大きな森の中へ入って行きますと、月の光も差さず、物凄い風の音が聞えて、始めのうちは狐にばかされたと思っていましたが、その中に遽ち目の前に賑やかな、お祭の景色が見えました。
紅、青、紫色の燈火が星のように輝やいて、行手の道の両側には見物店や、食物店が、それはそれはちょうど九段の招魂社の祭りに行ったように奇麗に居並んでいて、其処を往来するお姫様や、小供の姿が手に取るように見えます。