しかし余程隔っていると見えて物音は何も聞えず、ただ立派な着物の縞や、人の顔などが朧ろに見えるばかりで、眠むそうな太鼓の音が時々、どんどんと聞えるばかりであります。
二郎はこれが母さんのいなさる処かと心のうちで思い込んで、早く行ってその祭を見たいと駆け寄りますと、ちらりとお母さんの笑顔が幻しに見えたかと思うとぱっとしてその影は何処へか消えてしまいました。
二郎は魂の抜け去ったように茫っとして佇んでいますと、頭の上の大きな杉林に風の音が物凄く、月の光りがちらちらと洩れて梟の啼声が聞えます。
しかし余程隔っていると見えて物音は何も聞えず、ただ立派な着物の縞や、人の顔などが朧ろに見えるばかりで、眠むそうな太鼓の音が時々、どんどんと聞えるばかりであります。
二郎はこれが母さんのいなさる処かと心のうちで思い込んで、早く行ってその祭を見たいと駆け寄りますと、ちらりとお母さんの笑顔が幻しに見えたかと思うとぱっとしてその影は何処へか消えてしまいました。
二郎は魂の抜け去ったように茫っとして佇んでいますと、頭の上の大きな杉林に風の音が物凄く、月の光りがちらちらと洩れて梟の啼声が聞えます。