昔、昔、ずっと昔に或る忠義な武士があって主君の非行を諫言し奉った。
すると癇癪持の君は真二つに斬り下んと刀の束に手をかけたのを、最愛の妾が傍から止めたので、命だけは賜わって、国外に追放の身となったのである。
その実妾は却って武士を愛していたので、軈て自分もその武士の後を慕うて、一夜暗にまぎれて城を逃げ出た。
昔、昔、ずっと昔に或る忠義な武士があって主君の非行を諫言し奉った。
すると癇癪持の君は真二つに斬り下んと刀の束に手をかけたのを、最愛の妾が傍から止めたので、命だけは賜わって、国外に追放の身となったのである。
その実妾は却って武士を愛していたので、軈て自分もその武士の後を慕うて、一夜暗にまぎれて城を逃げ出た。