兵蔵は十年一日の如く、穢い狭い店の片隅で、ぶつりぶつりと蝋を煮て造り上げた大中小の蝋燭を別々の箱の中に納めて、赤、白との二種を造っている。
女房は西向の暗い室で、厚い木綿を手許覚束なげに縫うては、他人の針仕事をして家計の助けをやっている。
春は青葉で暗く冬は雪に埋れる田舎町で、一人の息子の成功を神に祈っているのだ。
兵蔵は十年一日の如く、穢い狭い店の片隅で、ぶつりぶつりと蝋を煮て造り上げた大中小の蝋燭を別々の箱の中に納めて、赤、白との二種を造っている。
女房は西向の暗い室で、厚い木綿を手許覚束なげに縫うては、他人の針仕事をして家計の助けをやっている。
春は青葉で暗く冬は雪に埋れる田舎町で、一人の息子の成功を神に祈っているのだ。