真夏の炎天に笠も手拭も被らず、沖から吹く潮風に緑髪を乱して、胸の乳房も現わに片手に蝋人形をさも大事相に抱いて、徒跣のまま真黄な、真白な草花の咲いている、熱く日に焼けた沙原を歩いて何やら物狂わしそうに歌っているのはお葛である。
――彼女の胸より湧きかえる燃えるような恋歌の息に、その熱き唇に蝋人形は幾たびとなく接吻されたのである。
――然るにその蝋人形さえ、或年の夏の日に人知れず沙原の上に捨てられてそのまま形もなく溶けてしまった。
真夏の炎天に笠も手拭も被らず、沖から吹く潮風に緑髪を乱して、胸の乳房も現わに片手に蝋人形をさも大事相に抱いて、徒跣のまま真黄な、真白な草花の咲いている、熱く日に焼けた沙原を歩いて何やら物狂わしそうに歌っているのはお葛である。
――彼女の胸より湧きかえる燃えるような恋歌の息に、その熱き唇に蝋人形は幾たびとなく接吻されたのである。
――然るにその蝋人形さえ、或年の夏の日に人知れず沙原の上に捨てられてそのまま形もなく溶けてしまった。