このごろは、まったく砂漠のように、灰色にしか目に映らない家の中にも、小さいながらさんらんとした、金の塊が、隠されているということは、令二にとって、不思議というよりか、むしろ、人生には、つねにこうした矛盾があって、楽しいのだという感じのほうを強からしめたのであるが、これが母の大事な歯であるだけに、あまり朗らかな気持ちにはなれなかったのです。
「歯のないのが、かえってかみいいなんて、そういうことはありませんよ。
母の道理に合わない言葉を、令二は、指摘しました。
このごろは、まったく砂漠のように、灰色にしか目に映らない家の中にも、小さいながらさんらんとした、金の塊が、隠されているということは、令二にとって、不思議というよりか、むしろ、人生には、つねにこうした矛盾があって、楽しいのだという感じのほうを強からしめたのであるが、これが母の大事な歯であるだけに、あまり朗らかな気持ちにはなれなかったのです。
「歯のないのが、かえってかみいいなんて、そういうことはありませんよ。
母の道理に合わない言葉を、令二は、指摘しました。