僕は、このごろの風景が、みんな光って見えますがねというから、それは、おまえが、お母さんの金歯を売ったお金で、絵の具を買ったからでしょうというと、お母さんは、さすがに偉いな、よく僕の心の底の見えないところまでわかっている。
こんど描いている絵は、傑作と思いますから、もし評判にでもなって、いい値で売れたときには、なんでもお母さんのお好きなものを買ってあげますよというのです。
私はなにもほしいとは思わないが、ただおまえの絵が、世の中に認められれば、それで満足です、なによりもそれがうれしいといったのですよ。