だが不思議にも、その同じ手が舞台にあっては妖しいまでに美しく見え、自分の膝の上にあっては只の平凡な手に見える。
かくの如きことはひとり金剛巌氏の場合のみではない。
能においては、衣裳の外へ露われる肉体はほんの僅かな部分であって、顔と、襟くびと、手頸から指の先までに過ぎず、楊貴妃のように面を附けている時は顔さえ隠れてしまうのであるが、それでいてその僅かな部分の色つやが異様に印象的になる。
だが不思議にも、その同じ手が舞台にあっては妖しいまでに美しく見え、自分の膝の上にあっては只の平凡な手に見える。
かくの如きことはひとり金剛巌氏の場合のみではない。
能においては、衣裳の外へ露われる肉体はほんの僅かな部分であって、顔と、襟くびと、手頸から指の先までに過ぎず、楊貴妃のように面を附けている時は顔さえ隠れてしまうのであるが、それでいてその僅かな部分の色つやが異様に印象的になる。