文豪用例帳

作家別 名言・名文

谷崎潤一郎の名言・名文

谷崎潤一郎は、美しいものへの傾きを生涯書き続けた作家である。東京の日本橋に生まれ、『刺青』などの妖しい短編で世に出た。関東大震災を機に関西へ移り、その土地の言葉や暮らしにふれて作風を深めていく。

『春琴抄』では献身と支配の絡む師弟の情を、『細雪』では大阪の旧家に生きる四姉妹の日々を描いた。随筆『陰翳礼讃』では、翳りの中に日本の美を見いだしている。

谷崎潤一郎 1886–1965
官能的で美意識の高い文体を特徴とする小説家。日本的な美と西洋的な近代性の対比を追求した。代表作に『細雪』『春琴抄』『陰翳礼讃』など。

名言・名文

私は不断の泣虫にも似合わず、涙一滴こぼしては居ないのである。谷崎潤一郎『母を恋うる記』 私の頬ぺたはこんなに涙で濡れているのだよ。谷崎潤一郎『母を恋うる記』 浮世はその雲と同じことだ。谷崎潤一郎『二人の稚児』 現代の人は明るい家に住んでいるので、こう云う黄金の美しさを知らない。谷崎潤一郎『陰翳礼讃』 自分はまるで二人のために恋愛の温床を作ってやったようなものだ。谷崎潤一郎『細雪』 自分は今、一生懸命ナオミを恋い慕っているより外、何の仕事も持っていないのだ。谷崎潤一郎『痴人の愛』 ほんとうに、人の運命ほど測り難いものはない。谷崎潤一郎『細雪』 私は自分でここまでときめている限界を越えて、夫の心理の中にまではいり込んで行きたくない。谷崎潤一郎『鍵』 自分は誰かに、時々自分の此の幸福を見せびらかして、羨ましがらせてやりたかったのだ。谷崎潤一郎『少将滋幹の母』 要するにここの主人は正直一途にそう信じているのである。谷崎潤一郎『吉野葛』