それが、近頃の洋館は天井が低いので、すぐ頭の上に火の玉がくるめいているようで、暑いことと云ったらない、体のうちでも天井に近い所ほど暑く、頭から襟頸から背筋へかけて炙られるように感じる。
しかもその火の玉が一つあったらあれだけの廣さを照らすには十分なくらいであるのに、そう云う奴が三つも四つも天井に光っていて、その外にも小さな奴が壁に沿い柱に沿うて幾つとなく取り附けてあるのだが、そんなのはたゞ隅々に出来る隈を消している以外に、何の役にも立っていない。
だから室内に蔭と云うものが一つもなく、見渡したところ、白い壁と、赤い太い柱と、派手な色をモザイクのように組み合わせた床が、刷りたての石版画のように眼に沁み込んで、これがまた相当に暑苦しい。