東京の握り鮨とは格別な味で、私などにはこの方が口に合うので、今年の夏はこればかり食べて暮らした。
それにつけてもこんな塩鮭の食べかたもあったのかと、物資に乏しい山家の人の発明に感心したが、そう云ういろ/\の郷土の料理を聞いてみると、現代では都会の人より田舎の人の味覚の方がよっぽど確かで、或る意味でわれ/\の想像も及ばぬ贅沢をしている。
そこで老人は追い/\都会に見切りをつけて田舎へ隠棲するのもあるが、田舎の町も鈴蘭燈などが取り附けられて、年々京都のようになるので、そう安心している訳には行かない。