奥深い山中の木の下闇をさえ奪ってしまうのは、あまりと云えば心なき業である。
この調子だと、奈良でも、京都大阪の郊外でも、名所と云う名所は大衆的になる代りに、だん/\そう云う風にして丸坊主にされるのであろう。
が、要するにこれも愚痴の一種で、私にしても今の時勢の有難いことは万々承知しているし、今更何と云ったところで、既に日本が西洋文化の線に沿うて歩み出した以上、老人などは置き去りにして勇往邁進するより外に仕方がないが、でもわれ/\の皮膚の色が変らない限り、われ/\にだけ課せられた損は永久に背負って行くものと覚悟しなければならぬ。