「まだこゝに絵双紙が沢山あるんだよ」
と、信一は又袋戸棚から、半四郎や菊之丞の似顔絵のたとうに一杯詰まって居る草双紙を引き擦り出して、色々の絵本を見せてくれた。
何十年立ったか判らぬ木版刷の極彩色が、光沢も褪せないで鮮やかに匂っている美濃紙の表紙を開くと、黴臭いケバケバの立って居る紙の面に、舊幕時代の美しい男女の姿が生き/\とした目鼻立ちから細かい手足の指先まで、動き出すように描かれている。
「まだこゝに絵双紙が沢山あるんだよ」
と、信一は又袋戸棚から、半四郎や菊之丞の似顔絵のたとうに一杯詰まって居る草双紙を引き擦り出して、色々の絵本を見せてくれた。
何十年立ったか判らぬ木版刷の極彩色が、光沢も褪せないで鮮やかに匂っている美濃紙の表紙を開くと、黴臭いケバケバの立って居る紙の面に、舊幕時代の美しい男女の姿が生き/\とした目鼻立ちから細かい手足の指先まで、動き出すように描かれている。