仙吉は滅茶々々にされて崩れ出しそうな顔の輪廓を奇態に歪めながらひい/\と泣いて居たが、しまいには其の根気さえなくなって、相手の為すがまゝに委せた。
日頃学校では馬鹿に強そうな餓鬼大将の荒くれ男が、信一の為めに見る影もない態になって化け物のような目鼻をして居るのを見ると、私はこれ迄出会ったことのない一種不思議な快感に襲われたが、明日学校で意趣返しされると云う恐れがあるので、信一と一緒に徒らをする気にはなれなかった。
暫くしてから帯を解いてやると、仙吉は恨めしそうに信一の顔を横目で睨んで、力なくぐたりと其処へ突っ俯した儘何と云っても動かない。