ろくろ首の踊りはます/\宛転滑脱となり、風船玉は川風に煽られつゝ、忽ち蒸汽船の白煙りを潜り抜け、忽ち高く舞い上って待乳山を眼下に見、見物人に媚ぶるが如き痴態を作って、河上の人気を一身に集めて居ます。
言問の近所で土手に遠ざかって、更に川上へ上って行くのですが、それでも中の植半から大倉氏の別荘のあたりを徘徊する土手の人々は、遥かに川筋の空に方り、人魂のようなろくろ首の頭を望んで、「何だろう」「何だろう」と云いながら、一様に其の行くえを見守るのです。
傍若無人の振舞いに散々土手を騒がせた船は、やがて花月華壇の桟橋に纜を結んで、どや/\と一隊が庭の芝生へ押し上がりました。