兵庫県下なら、汽車へ乗らずとも電車で行けるから、東京の原籍地へ戻るよりはいくらか増しだと私は喜んだ。
で、丁度月の十二日の午ごろ、日本橋の区役所から取り寄せた戸籍謄本と実印とを懐にして、五条の停車場へ行った。
真夏らしい日光がきらきらと、乾燥した、埃の多い京都の街の地面に反射し、晴れた空が毒々しく油切って、濃い藍色を湛えて居る日であった。
兵庫県下なら、汽車へ乗らずとも電車で行けるから、東京の原籍地へ戻るよりはいくらか増しだと私は喜んだ。
で、丁度月の十二日の午ごろ、日本橋の区役所から取り寄せた戸籍謄本と実印とを懐にして、五条の停車場へ行った。
真夏らしい日光がきらきらと、乾燥した、埃の多い京都の街の地面に反射し、晴れた空が毒々しく油切って、濃い藍色を湛えて居る日であった。