が、ざっと以上のような事情が彼女の婚期を後らせた原因になった外に、もう一つ雪子を不仕合せにしたのは、彼女が未年の生れであることであった。
一般に丙午をこそ嫌うけれども未年の生れを嫌う迷信は、関東あたりにはないことなので、東京の人達は奇異に感じるであろうが、関西では、未年の女は運が悪い、縁遠いなどと云い、殊に町人の女房には忌んだ方がよいとされているらしく、「未年の女は門に立つな」と云う諺まであって、町人の多い大阪では昔から嫌う風があるので、ほんに雪子ちゃんの縁遠いのもそのせいかも知れないなどと、本家の姉は云い云いした。
それやこれやで、だんだん兄や姉たちもそうむずかしい条件を出しては無理だと云うことが分って来、此方は初婚なのだから先方も同様でなければと云っていたのが、二度目の人でも子供さえなければと云い出し、次いで子供も二人までならと云い出し、年も二番目の義兄貞之助より一つや二つ上であっても外見が老けてさえいなければ、と云うところまで折れて来るようになった。