此方が慌てて、昨日又本家の方を急かしてみましたところ、大体異存がないらしいのですけれども、まだ調べの行き届かない点があるから、もう四五日待って戴きたいように云っていますので、と、言訳しかけるのを皆まで聞かずに、大体御異存がないのでしたら、細かい調べは後にして、兎に角本人さん同士会って御覧になったら如何でしょうか、見合いと云うような形式張ったことでなく、私が両方を晩の御飯にお招きすると云うことにしますから、御本家の方達はおいで下さらないでも、此方の御夫婦がお附添い下されば結構です、先方は非常にそれを望んでおられるのですが、と、退っ引きならぬように云った。
井谷にしてみれば、この姉妹たちは少し思い上りすぎている、人が熱心に奔走してやっているのに、いつ迄悠長なことを云っていてどうする気だろう、そんな風だから婚期に後れてしまうのではないか、ちと眼が覚めるようにしてやらなければ、と云う腹があるので、なおさら押っ被せるように云うのであったが、幸子にも、うすうすその気持が分らなくはないので、ではいつ、と云うと、急なお話のようですけれども明日の日曜にして戴けると瀬越さんも私も大変都合がよいのですが、と云う。
明日は先約がありまして、と云うと、では明後日と、直ぐ畳みかけて来るので、それなら大概明後日と云うことにして置いて、しかとしたところは明日の午頃電話で御返事申しますからと、そう云って帰って貰った昨日の今日のことなのである。