雪子は幸子たちがどうせ映画館か何かへ廻って、帰りがおそくなることが分っていたので、夕飯を済ますと悦子と一緒に風呂に漬かって、八時半頃に寝室へ上った。
悦子は幼い児のわりに余り寝つきがよくない方で、寝台に這入ってから二三十分の間、何かしきりに興奮してしゃべり続ける癖があるので、彼女を無事に寝かしつけると云うことが一と仕事になっているのであるが、雪子はいつも、こうして悦子を寝かしつけておしゃべりの相手になりながら自分も眠る。
そしてそのまま寝通してしまうこともあり、一と寝入りしてから、悦子を起さないようにそっと自分だけ起きて、寝間着の上に羽織を引っかけて降りて来て、ひとしきり幸子たちと茶飲み話をすることもある。