独逸人の子は上がペータアと云う男の子、次がローゼマリーと云う女の子、下がフリッツと云う男の子で、一番兄のペータアが見たところ十か十一、ローゼマリーが悦子とちょうど同じぐらいの年恰好をしていたけれども、西洋の子供は大柄であるから、実際の歳はもう一つ二つ下であるらしかった。
悦子はその兄妹たち、分けてもローゼマリーと仲好しになって、毎日学校から帰って来ると、庭の芝生へ誘い出して遊んだ。
ローゼマリーは悦子のことを「エツコ、エツコ」と呼んでいたが、誰か注意する者があったと見えて、間もなく「エツコさん、エツコさん」と呼ぶようになり、悦子はローゼマリーのことを、親や兄弟たちが呼ぶ「ルミー」と云う愛称を使って、「ルミーさん、ルミーさん」と呼んでいた。