ローゼマリーは悦子のことを「エツコ、エツコ」と呼んでいたが、誰か注意する者があったと見えて、間もなく「エツコさん、エツコさん」と呼ぶようになり、悦子はローゼマリーのことを、親や兄弟たちが呼ぶ「ルミー」と云う愛称を使って、「ルミーさん、ルミーさん」と呼んでいた。
ところで、シュトルツ氏の家にはジャアマンポインタア種の犬と、欧羅巴種の全身真っ黒な猫とがいたが、その外に、裏庭の方に箱を作ってアンゴラ兎を飼っていた。
悦子は犬や猫は自分の家にも飼っているので珍しくはなかったけれども、兎は珍しいので、よくローゼマリーと一緒に餌をやったり、耳を持って抱き上げたりしていたが、やがて自分もほしくなって、兎を飼ってくれるように母にせがんだ。