ところで、シュトルツ氏の家にはジャアマンポインタア種の犬と、欧羅巴種の全身真っ黒な猫とがいたが、その外に、裏庭の方に箱を作ってアンゴラ兎を飼っていた。
悦子は犬や猫は自分の家にも飼っているので珍しくはなかったけれども、兎は珍しいので、よくローゼマリーと一緒に餌をやったり、耳を持って抱き上げたりしていたが、やがて自分もほしくなって、兎を飼ってくれるように母にせがんだ。
幸子は動物を飼うのはよいが、扱い馴れないものを飼って死なしてしまうと可哀そうであるし、ジョニーと鈴でも好い加減手がかかるのに、そこへ又兎が来ては餌をやるだけでも厄介であるし、第一、ジョニーと鈴に食い殺されないように囲っておくと云っても、この家にはそう云う適当な場所がないしするので、躊躇していると、出入りの煙突掃除の男がこれをお嬢ちゃんに上げてくれと云って、何処からか兎を一匹持って来た。