―――瀬越側は、当人一人と云うのも淋しいし、と云ってわざわざ国元から近親者を呼び寄せるべき場合ではないので、幸い瀬越の同郷の先輩で、房次郎の勤め先国分商店の常務をしている五十嵐と云う中老の紳士がいたのを、房次郎から頼んで介添役に出て貰うことにし、此方側は貞之助夫妻に雪子の三人で、主客八人と云うことになった。
その前の日、幸子は当日の頭髪を拵えるために雪子と二人で井谷の美容院へ出かけたが、自分はセットだけのつもりなので、雪子を先にやらせて、番の来るのを待っていると、井谷がちょっと仕事の隙に這入って来て、
「あの、―――」