「ちょっと、お隣へ少し葡萄酒を注いで上げて………」
と、ボーイに耳打ちをしたりしていた。
雪子自身も、内々瀬越の飲みっ振りを見て意を強くもし、自分ももっと朗かになりたいと云う気もあって、目立たぬように折々口をつけていたが、雨に濡れた足袋の端がいまだにしっとりと湿っているのが気持が悪く、酔が頭の方へばかり上って、うまい工合に陶然となって来ないのであった。
「ちょっと、お隣へ少し葡萄酒を注いで上げて………」
と、ボーイに耳打ちをしたりしていた。
雪子自身も、内々瀬越の飲みっ振りを見て意を強くもし、自分ももっと朗かになりたいと云う気もあって、目立たぬように折々口をつけていたが、雨に濡れた足袋の端がいまだにしっとりと湿っているのが気持が悪く、酔が頭の方へばかり上って、うまい工合に陶然となって来ないのであった。