しかしあの弱々しい風姿を見ては胸の病でもありはしないかと疑った人が今迄にもあったくらいで、御尤もな御懸念と思うから、早速帰って家内や当人に相談をし、本家にも諒解を求めて、御安心のために医者に健康診断をして貰い、出来ればレントゲン写真を撮ってお目にかけるように勧めてみましょう。
と、そう云うと、いやそんなに迄して戴かないでも、その御説明を伺えば十分ですからと云うことであったが、いやいや、こう云うことははっきりさせて置く方が宜しい、自分にしても保証するとは云ったものの、まだ改まって医者の意見を聞いたことはないのだし、ちょうどよい機会であるから、孰方にしてもそうした方が自分達も安心であるし、本家も同様であると信ずる、あなた方にしたって、胸に何の曇りもないところを写真で一目瞭然と示された方が、どんなにかお気持がよいでしょうからと、そう貞之助は云って置いた。
それで、万一この縁談が纏まらなかったとしても、今後又そんな疑いを受けた時の用意に、この際レントゲンを撮って置くことは無駄でないと思うし、本家もよもや異存はなかろうから、明日にも阪大へ連れて行ったらどうであろうか、と云うのであった。