生憎その場には幸子の外に女中達まで居合せたのが、俄にしーんと黙り込んでしまったが、その時も雪子は案外平気で、何か口の中でもぐもぐと胡麻化した返事をしただけで、顔色一つ変えるではなかった。
幸子たちが一番ヒヤヒヤするのは、そう云う風にそれがはっきり出ている時に、雪子と連れ立って街を歩いたり、百貨店などへ行ったりすることであった。
姉妹たちにして見れば、雪子は今が結婚前の大切な売り物で、見合いでなくとも着飾って外へ出かければ何処で誰に見られるか分らないのであるから、その前後の一週間ぐらいはなるべく引き籠っていてくれるか、でなければ、出かけるなら出かけるで、化粧でそれを目立たせないように工夫してくれたらよいのに、当人はそう云う点に一向無頓着なのであった。