そうこうするうち、月が変って十二月に這入ってからの或る日、本家の御寮人様から電話と云うので、幸子が出ると、先達ての縁談のことについて、大そう調べがおそくなったけれども、漸く大体のことが分ったから、今日此方から出向いて行く、と、そう云って電話を切りかけてから、姉は又ちょっと言葉を継いで、ええ話とは違うさかいに、喜ばんとおいてほしい、と云うのであった。
幸子はそう断られる迄もなく、姉の声を聞いた最初の瞬間から、ああ又今度もいけないのだなと感じていたが、電話を切って応接間へ戻って来ると、ひとりでに溜息が出て、安楽椅子へどっと腰を落してしまった。
今迄にも幾度こう云うことがあったか知れず、土壇場まで来て断るのが殆ど馴れっこのようになっていたので、その都度幸子はそんなにも力を落したことはなかったのであるが、今度はなぜか、格別残念がる程の縁ではないと云う風に思ってみても、心の奥の方で相当に落胆していることが意識せられた。