幸子はそう断られる迄もなく、姉の声を聞いた最初の瞬間から、ああ又今度もいけないのだなと感じていたが、電話を切って応接間へ戻って来ると、ひとりでに溜息が出て、安楽椅子へどっと腰を落してしまった。
今迄にも幾度こう云うことがあったか知れず、土壇場まで来て断るのが殆ど馴れっこのようになっていたので、その都度幸子はそんなにも力を落したことはなかったのであるが、今度はなぜか、格別残念がる程の縁ではないと云う風に思ってみても、心の奥の方で相当に落胆していることが意識せられた。
それと云うのが、今迄は自分も本家と同じ意見で、破談に賛成する方の側であったのに、今度は大丈夫纏まるような気がしていたせいなのであろう。