と、姉はそう云って、折角親切なお人達が何かと心配して話を持って来て下さるのを、本家の私等が毎度壊してしまうように取られるのは心苦しいけれども、決して私等はそんなつもりはない、今日となっては何も家柄だの資産だのに深くこだわる気はないので、実は今度の話などは至極恰好な縁と思った訳であった、私等にしても何とか纏めたいと云う考があったればこそ、人を田舎まで遣って調べたのであるが、外の事と違って精神病の血統があるのでは諦めるより仕様がないではないか、雪子ちゃんの縁談と云うと、いつも何か彼か動きの取れない故障が起ってどうしても断るような羽目になるのが不思議でならない、矢張雪子ちゃんと云う人はそれだけ縁が薄い人なので、未年などと云うことも迷信とばかり云ってしまえないような気がする、と云うのであった。
幸子は、姉と入れ違いに戻った雪子が懐に茶袱紗を入れたまま洋間に這入って来たのを見ると、ちょうど悦子がシュトルツ氏の庭へ遊びに行っている折なのを幸い、
「さっき姉ちゃんが来やはったけどな、たった今帰りはってん」