「いえ、いえ、そう仰っしゃられては痛み入ります。
ただ、僕等としましては、蒔岡家では何か格式と云うようなものに囚われて、恰好な縁談があっても皆断ってしまうと云う風に、世間から思われておりますらしいのが辛いのでして、………決してそんな意味ではない、今度のことは寔に已むを得ない事情なのだと云うことを、世間は兎に角と致しまして、せめてあなたにまで御諒解を願って置きたい、と申しますのも、何卒このことでお腹立ちにならず、今後ともお世話を願いたいと思うておりますからなのですが、これは勿論あなたのお耳へ入れておきますだけなのでして、先方さんへは、何とでも宜しいように仰っしゃってお断りになって戴きたいのです」
「御丁寧な御挨拶で恐縮いたしますわ。