………妙子さんのもう一人の姉さん、小さいお嬢さん、なぜ来ること出来ません?
貞之助と幸子とは、その「ごぜえます」を聞いて妙子を見ると可笑しくなるので、なるべく妙子と眼を見合わさないようにしたが、妙子があらぬ方を向いて一生懸命に取り澄ましている顔つきが、又可笑しくてならなかった。
が、「お婆ちゃん」とは云うけれども、西洋の老婦人に多い肥満型ではなく、後姿などはすっきりしていて、踵の高い靴を穿いた、恰好のよい細い脚で、床をコツンコツン云わせながら鹿のように軽快に、―――粗暴と云ってもよいくらいに、―――勢よく歩くところは、妙子が話したスケート場に於ける颯爽ぶりを想像せしめるものがあった。