その心持は雪子も妙子も同様に感じているらしくて、大方の花に対しては幸子ほどに関心を持たない二人だけれども、いつも内々この行事を楽しみにし、もう早くから、―――あのお水取の済む頃から、花の咲くのを待ち設け、その時に着て行く羽織や帯や長襦袢の末にまで、それとなく心づもりをしている様子が余所目にも看て取れるのであった。
さて、いよいよその季節が来て、何日頃が見頃であると云う便りがあっても、貞之助と悦子のために土曜日曜を選ばなければならないので、花の盛りに巧く行き合わせるかどうかと、雨風につけて彼女たちは昔の人がしたような「月並な」心配をした。
花は蘆屋の家の附近にもあるし、阪急電車の窓からでも幾らも眺められるので、京都に限ったことはないのだけれども、鯛でも明石鯛でなければ旨がらない幸子は、花も京都の花でなければ見たような気がしないのであった。