と云って、大人達は冷やかした。
悦子はまだ箸の持ち方がほんとうでなく、子供独得の変な持ち方をする上に、袂が手頸に絡み着いて洋服の時とは勝手が違うせいか、物をたべるのも不自由らしく、八寸に載って出た慈姑をひょいと挟もうとして、箸の間から落した拍子に、慈姑が濡れ縁から庭にころげて、青苔の上をころころと走って行ったのには、悦子も大人達も声を挙げて笑ったが、それが今年の行事に於ける最初の滑稽な出来事であった。
明くる日の朝は、先ず広沢の池のほとりへ行って、水に枝をさしかけた一本の桜の樹の下に、幸子、悦子、雪子、妙子、と云う順に列んだ姿を、遍照寺山を背景に入れて貞之助がライカに収めた。