見ると、神前結婚を済ました一組が斎館から出て来るところで、花嫁が自動車に乗り移るのを、弥次馬共が両側に列んで覗き込んでいるのである。
此方からは白い角かくしと、きらびやかな裲襠の後姿が、硝子戸の中でちらと光ったのを見ただけであったが、実は此処でこう云う一組に行き合わすことも、今年が始めてなのではなかった。
そして、いつでも、幸子は何か胸を衝かれるように感じてその前を通り過ぎるのであるが、雪子や妙子は案外平気で、時には弥次馬の中に交って花嫁の出て来るのを待っていたり、花嫁がどんな顔をしていたとか、どんな衣裳を着ていたとか、あとで幸子に話して聴かすのであった。